なぜ、オステオパシーでは内科や婦人科の施術が出来るか?
我が家には先々週から新しい住人がいます。
なぜか三週間うちで預かることになった妹の知り合いの愛犬、パグの『春雨くん』です。
初日こそ飼い主さんに置いていかれた寂しさから一晩泣き倒していましたが、三日目くらいからは完全に我が家に魂を売り、すっかり溶け込んでおります。
最初は正直何がかわいいのかさっぱりわからなかったのですが、今となっては家族全員メロメロでして、何とかして三週間後も返さないですむものかと思案中の今日この頃です。
それにしても、二度と犬は飼わないつもりでいましたが、こんなにすぐ人の気持ちというのは変わってしまうものなのですね。
実際に連れてくるとは、我が妹ながら中々の策士です。
写真は土曜日に久しぶりの半日お休みを頂きましたので、妻と春雨の三人で一緒に比叡平の芽亜里というカフェでランチをしてきた時のものです。
常に自分の食事を盗られる恐怖と闘いながらではありましたが、本当に美味しく食べさせて頂きました。
さて、前回のブログが中々好評でしたので、今回も引き続き少々真面目な話を書かせて頂きたいと思います。
施術をしていてよく質問をされるのが、
「なぜ、オステオパシーでは内科や婦人科の施術が出来るのか?」
ということです。
つまり、手で直接触れることが出来ない組織の施術をなぜ出来るのか?ということです。
確かに、オステオパシーでは当たり前の様に決して直接は触れない臓器や頭蓋の施術を行います。
例えば、心臓や肺の施術は肋骨の上から行います。
もちろん、外科医の先生の様に皮膚や肋骨を切ることは出来ません。
考えてみたら不思議な話ですね。
でも、答えは簡単です。
これは、それぞれの組織で筋膜の硬さが全く違うから可能なのです。
(写真は実際の筋膜)
オステオパシーでは筋膜という結合組織を治療の場としています。
この筋膜というのは筋肉だけに存在するのではなく、骨膜や心膜、くも膜、硬膜、軟膜、隔膜などありとあらゆる風に名前を変え、一枚の膜が身体の組織全体を包み込んでいます。
そして、これが潤滑油の様に組織同士の間を滑ってくれているので、組織は働くことが出来、私たちは動くことが出来、生きることが出来ているのです。
この筋膜という結合組織が密になっている組織は硬く、粗だとその組織は柔らかくなります。
例えば、骨は密で皮膚は粗です。
疑われる方は試しにご自分の胸郭(鎖骨の下辺り)に手を当ててみて、左右に身体を捻じってみて下さい。
皮膚と肋骨の向こうに何か動かない(もしくは反対に動いている)と感じるものがあるはずです。
その動かないものこそがあなたの肺です。
そして、肋骨と肺の間にも筋膜があり滑ってくれているので、私たちが胸郭を回旋させても肺はついてこないのです。
ま、兎にも角にもオステオパスはこの様に結合組織の硬さによって深部にある臓器なども触っています。
でも、中には筋膜の動きを感じるとか本当に出来るの?と思われる方もおられるでしょう。
実際、私も施術を気功か何かと間違われたことが多々あります。
しかし、何もそんな不思議な力を使わなくてもオステオパシーは誰でもできます。
ただ、普通の方が触らない様な(もしくは触ろうと思わない様な)ものを扱うため、指先の感覚を研ぎ澄ます訓練をしこたま行います。
具体的な訓練方法の一つとして、ルーズリーフの下に自分の髪の毛を入れて、一枚ずつルーズリーフを重ねていき、その下にある髪の毛を探す練習があります。
地味ですが、これを毎日行っていて、紙の枚数も何十枚となってくると、いつしか不思議と筋膜の動きもわかるようになっていました。
ここまでで、なぜオステオパシーは身体の内部の施術も行えるかわかって頂けたでしょうか?
ただ、この様に書くとオステオパシー=筋膜を緩めるテクニックと思われてしまうかも知れません。
それは断じて違いまして、オステオパシーは身体に対する考え方であり、哲学です。
この辺りの話をし出すとすごく長くなってしまいますので、またいつか書かせて頂きたいと思います。
ありがとうございました。