ウイスキーの話とあり方の話
昔、比叡山の律院に先祖供養に行かせて頂いた時に、ご住職からこんな話を伺いました。
「私、こう見えてウイスキーが大好きなんです。
だから、たまに頂き物とかで自分の甲斐性では買えない様な高いウイスキーを頂いたら、友達が来た時にでも飲もうと思って大事に大事に取っておくんです。
でもいざ、友達が来てウイスキーを開けても、普段飲みなれている訳ではないので、すぐ酔っ払って寝ちゃうんですよね。
そして、目が覚めると、あんなに大事に大事に取っておいたウイスキーがもう残り1/4になっている。
でも、ここで
これだけしかない!
と思うのか、
まだ、こんなにも残ってる。
と思うのかで全く違うんですよね?
ウイスキーの残りが1/4という事実は変わらないのに。
つまり、起こる事柄で人生が決まるのではなく、起こることに対して自分がどう思うのか?で人生が決まるんです。」
何かこの話は全てに通じる様な気がして、凄く好きなんです。
その時に、僕は
「まだ、こんなに残ってる。」
と思える人間でいたいなと思った記憶があります。
中々、難しいですが(笑)
何でいきなりこんな話をしたかと言いますと、先日来られた患者さんの話です。
その方は少し前に病院で「乳ガン」と診断をされ、うちに来られました。
最近でこそ、僕も聞きなれすぎて何とも思いませんが、まだまだ一般の方には
ガン=死
というイメージが強い方が多いと思います。
その方も来られた時は、顔面蒼白で、低体温。
上手く言えませんが、死相が出ているという感じでした。
既に抗がん剤や放射線治療をされていたので、ウィッグを被られていました。
そこで、
色々な問診や触診をしながら、
身体の機能と構造から、ガンになった結果ではなく、
「何でなったのか?」
という視点からの僕の考えと、これからの選択肢、
その上で、治せるのはご自身だけであること。
これは自分の身体を自分で見直すチャンスであること。
など、時間をかけて説明させて頂きました。
最初は、
「そんなこと考えたこともなかったです。」
と面食らった様な感じでしたが、
帰られる時には、凄く晴れやかな表情をされていたので、ホッとしていました。
そして、この前2回目の施術に来られたのですが、
来るやいなや、
「先生の『身体は完璧』だから、病気も身体からのサインでしかない。だから、これを機に今までの生活を改めて、自分の身体を大切にして下さいと言う言葉が腑に落ちました。今までは「転移」とか「再発」と言う言葉にビクビクしながら生活していたのですが、今が今までで一番元気な気がするんです。
そして、今が一番楽しいです!」
と言われました。
前回、来られた時より明らかに顔色も良く、体温も高く、何より纏っている空気感が凄く明るくなられて、本当にしあわせそうでした。
この方は今まで病気という得体の知れない現象にフォーカスしていましたが、
「何でそうなったのか?」
という思考から
「原因」
の方に思考がシフトされました。
ガンになった=死
という思考から
ガンになった
→健康は当たり前の物じゃなく、ありがたいもの。
過去の反省を生かして、より元気に生きたい
=生
という思考に変わった様なものですよね。
話を聞いているうちに、同じことが起こっているのに、こんなに人って変わるのだとこちらまで嬉しくなりました。
僕は何か特別なことをした訳ではなく、自分の考えを言っただけです(笑)
でも、それが結果的にその方の人生が変わるきっかけになり、なぜだかが凄く感謝される、、、
これがあるからこのお仕事が大好きだなと改めて実感しました。
誰しもが今まで生きてきて培ってきた「こうあるべき。」とか「こうに違いない。」
という思考に縛られている部分があると思います。
例えば、
失敗したくない。
などは誰しも思っていることだと思います。
しかし、
失敗って何?って聞くと、
その人の中で「常識的にこうあるべき。」からズレただけ。
ということが多いです。
その時点で、見方が偏ってしまって、自分で自分の可能性を狭くしているかもしれません。
でも、少し客観的に自分を見てみると、意外と大したことなかったり、
その常識というフィルターを外してみると、パチンパチンとパズルが嵌るように腑に落ちることが多々あります。
なので、本当は「こうあるべき。」は、
「常識的にこうあるべき。」
ではなく、
「自分がどうありたいか?」
という自分が凄く大切で、
そこさえしっかりしていれば、他人にどう思われようが関係なくなり、人生において経験という学びはあっても、失敗なんかないと思うのです。
もちろん、当院に来られる方でガンという診断をされてうちに来られた方でも既に亡くなられた方もおられます。
でも、どんな生き物でもいつか死にます。
それならば
常識というあり方に縛られて、
自分や自分の周りで起こる事柄に対して逐一落ち込んだり、
自分を曲げてまで我慢して生きるのではなく、
まずはその起こった事柄をきっかけに、
自分がどうありたいか?をはっきりさせ、
その誰の意見でもない自分のあり方に忠実に、
今日という日を精一杯楽しんで、
「まだ、こんなに残っている。」と思える、
当たり前のことに感謝できる人生がしあわせだなと、
この前、副会長にお土産で貰ったビールが残り一本、、、「まだ一本も残っている。」
と自分に言い聞かせながら、このブログを書いています。。。
ヒロポン、またビール買ってきてね(笑)